糖尿病
糖尿病
糖尿病は血液中のブドウ糖の濃度が異常に高くなった状態が続く病気で、血糖値をコントロールする働きのあるホルモンであるインスリンの分泌量や働きに異常がある場合にみられます。インスリンの量や働きに影響をもたらす要因には自己免疫疾患などによりインスリンを分泌する細胞が破壊された状態であるインスリン依存型と遺伝的要因とよくない生活習慣が重なって発症するインスリン非依存型の二種類があります。このうちインスリン依存型を1型糖尿病、インスリン非依存型を2型糖尿病とも呼びます。糖尿病である人の10人に9人以上は2型糖尿病であるとも言われており、糖尿病のほとんどが良くない生活習慣が関係しています。そのため、糖尿病は生活習慣病の一つに含まれる病気であることや、初期にはまったく自覚症状がないことも多いのが特徴です。
先ほどもあげた通り糖尿病の症状の特徴は、「初期には症状がほとんど無い」ことが特徴です。
しかし糖尿病が進行していくと、
などの症状が現れます。
さらに、糖尿病が進行すると血管が傷ついて動脈硬化を引き起こし脳卒中や、足の壊疽などの合併症を引き起こすこともあります。合併症の中でも糖尿病の三大合併症と呼ばれる病気があります。
糖尿病が原因となって、網膜内の血管に影響が出て、目のかすみや視力低下などの症状がみられる病気です。眼圧が高くなって緑内障などの病気を引き起こし、視界が狭くなったり、失明することもあります。健康診断などで眼圧が高いと指摘を受けた場合に、特に注意したい病気です。
糖尿病により腎臓の働きが悪くなって、血圧の上昇や蛋白尿や体のむくみなどの症状がみられる病気です。さらに進行すると腎不全や尿毒症などの慢性腎臓病を引き起こして人工透析が必要になる場合や命に関わる場合もあります。透析が必要になると、週数回通院する必要になることもあり、仕事や生活への影響が大きいため注意が必要です。
糖尿病の三大合併症の中でも最も多い病気で、手足のしびれや痛み、感覚麻痺などの症状がみられることが特徴です。高血糖によって神経細胞が変化したり、動脈硬化によって神経細胞への栄養不足が起きたりすることが原因です。手足の感覚麻痺があると、傷に気が付かなくなって、潰瘍や壊疽(皮膚や皮下組織が死滅して黒っぽく変色する)を起こすこともあります。壊疽が進行した場合は、切断が必要になることもあり注意したい病気です。
糖尿病はインスリンの分泌量や働きに異常が見られ血液中の血糖濃度がコントロールできなくなることが直接の要因ですが、そもそもインスリンの分泌量働きに影響する原因は1型糖尿病と2型糖尿病で異なります。
生まれつきインスリンが分泌できないという先天性の原因が関係しています
運動不足や過剰な食事などの良くない生活習慣や遺伝的要因が関係しています。特に家族に糖尿病の患者さんがいる方(遺伝的要因)や、運動不足や肥満体系の方(生活習慣要因)、40歳以上の場合は2型糖尿病を発症しやすいので、健康診断などで高血糖を指摘された場合は、日頃の生活改善から少しずつ取り組んでいくことが大切です。
糖尿病の検査は血液の状態を調べるため、採血検査が必須となります。検査結果では、早朝空腹時血糖値・75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT2時間値)・随時血糖値のいずれかと、HbA1cを測定して下記の2つの基準に当てはまる場合に糖尿病と診断されます。
【基準1】
早朝空腹時血糖値…126mg/dl
あるいは
75gOGTT2時間値…200㎎/dl以上
あるいは
随時血糖値…200㎎/dl以上
のいずれか
かつ
【基準2】
HbA1c…6.5%以上
2つの基準のうちのいずれかに該当する場合には、一旦糖尿病“型”と診断されますが、再検査でも同様の結果が見られた場合に糖尿病と診断します。ただし、2つの基準に当てはまらないからといって安心というわけではありません。空腹時血糖値と75gOGTT2時間血糖値の結果から、糖尿病型、境界型(糖尿病予備軍)、正常型の3つに分類されます。
境界型の場合は、糖尿病予備軍ともいわれており、食生活や運動などの生活習慣の見直しが推奨されています。
糖尿病の治療はまずは「食事」と「運動」の改善から始めていきます。
食事では、1日3食規則正しく食べること、適切なカロリー量の食事をとること、1日30品目以上を目安にとることが大切です。血糖値は食事のとり方だけでも大きく変化します。食事をとった直後には、血糖値が急上昇しますがその後徐々に下がっていきます。しかし、この血糖値の急上昇が続くと、普段の血糖値まで高くなっていくことがわかっています。血糖値の急上昇をできるだけ防ぐことが大切です。血糖値の急上昇を防ぐためには、よく噛んでゆっくり食べること、食事を抜かないこと、栄養バランスよくとることが重要です。
運動ではどの程度、どんな運動をするかは糖尿病以外の病気やけが、体の状態によって人それぞれ異なりますが、目安としては、運動中は軽く会話ができ、少し汗をかく程度の運動を週3~5回程度です。日ごとの生活の中でも継続できそうな運動を見つけることがコツです。
運動するには、体に蓄えたエネルギーが必要ですが、この時消費されるエネルギーこそが血中に蓄えられたブドウ糖です。食事のコントロールに加えて、運動することで血糖値を下げたりコントロールしやすくなるため、積極的に運動することがおすすめです。当院では、患者様の日頃の生活や体の状態に合わせてどんな運動ができそうか相談しながら治療をしています。
食事や運動で改善が見られない場合や、そのほかの事情で血糖コントロールが難しい場合には、お薬を服用しながら治療していきます。お薬を服用しているから、食事を制限しなくてもよい、運動しなくてもよい、というわけではないためできる範囲のことを継続しながら、血糖値を管理するようにしていきましょう。
おやつを食べること自体は問題ありませんが、食べすぎや血糖値を急上昇させるお菓子などは避けるようにしてください。おやつの量は食事を含めて1日の摂取カロリーの目安量(年齢・性別により異なります)を超えないように気を付けましょう。また、チョコレートやスナック菓子などのお菓子は血糖値を急上昇させるので、果物や牛乳などでお腹を膨らませるのもよいでしょう。